イラストレーター兼作家のパウル・ヴァン・ローン氏とオランダ王室のローレンティン妃による共著です。
執筆者の一人であるローレンティン妃は、オランダ現国王の弟の奥さんです。
構想にはオランダのテーマパーク"エフテリング"が関わっており、このお話のミュージカル版も行われていたようです。
(歌がはじまるところからリンクをはってます)
歌がとてもいい…確かにすごくミュージカル映えする話だと思います。
最初から意識して作っていたのかな?
オランダに行った時はエフテリングにも是非行ってみたいです。まさに童話に出てきそうな可愛いお城!
Photo by Daan Schrikker on Unsplash
あらすじ
一緒に暮らすおじいさんから「だれもいないお城に、ふしぎな図書館がある」と聞いたステレ。
紆余曲折の末「お話の図書館」を見つけ出したステレは、読んだ本の内容を村のみんなにも語りきかせるようになります。しかし彼女を妬んだ魔女が物語を奪う呪いをかけてしまい――?
感想
物語がもつ可能性を生き生きと描いた温かい作品でした。
それだけでなく、この作品の魅力をぐっと高めているのが佐竹美保さんによる挿絵!
挿絵の数も多く、ページをめくるのが楽しいです。
何より「お話の図書館」の描写が素晴らしいです。
こんなところがあったら素敵だな、行ってみたいなという気持ちを掻き立ててくれる緻密な描写による世界観が展開されています。
背景まで細かく描写されている挿絵の存在はぐっと作品の世界を近づけてくれて見ていて楽しいですね。勿論背景だけでなく、キャラクターも素敵です。
物語は全体を通じて、物語が人間にもたらす光や希望が描かれています。
そして、それとは反対に不平や不満・いらだちに目を向けてばかりいて魔女になってしまった女の人も示唆的。それらが教訓めいた語り口ではなく、強張った心を優しく溶かしてくれるようなスタンスで語られるのが素敵だなと思いました。
ステレのおじいちゃんの生き方がまさにそんな感じでしたね。
魔女と戦うのではなく、ウィンクをしながら物事に対処していく軽やかさ。
現代的な価値観と昔ながらの童話スタイルが上手く混ざった物語だと思います。
ステラが「お話の図書館」の本によって希望やワクワクを与えられたように、この本もまたそんな希望を世界中の子どもたちに与えてくれるんだろうな。
短いけれど心がぽかぽかになる物語でした。
タイトルにもあるように"たきぎ"がキーアイテムとなる作品なので、ちょうど今の季節の読み聞かせにも良さそうです◎
↓こちらが原書版の挿絵。国が違うとまた雰囲気が異なって面白いです!